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「禁酒」のその先へ〜なぜ今、私たち中年世代に「マインドセット革命」が必要なのか?〜

前著『「禁酒」は最強の自己投資』を手に取ってくださった皆様、そして『続・「禁酒」は最強の自己投資』で初めて私の考えに触れてくださる皆様に、心からの感謝を申し上げます。

▼拙著『続・「禁酒」は最強の自己投資』▼

前作では、30年にわたる飲酒習慣に終止符を打ち、「禁酒」がいかに人生における「最強の自己投資」であるか、その具体的なメリットについて実体験を交えながらお伝えしました。

飲酒していた頃は、健康診断の肝臓に関する数値がCまで悪化しましたが、禁酒によってBまで回復することができました。

しかし、禁酒の旅は、最初の決断や初期の成功体験だけで終わるものではありません。

禁酒生活を重ね、世の中の変化を目の当たりにする中で、アルコールとの向き合い方における「世代間のギャップ」や、特に私たち「中年世代が直面する特有の課題」があることに気づいたのです。

本書では、この新しい視点を加えて、禁酒がもたらす価値をさらに深く掘り下げていきます。

目次

なぜ「飲みニケーション」はもう古いのか?

かつて「酒は百薬の長」とされ、職場の飲み会が当たり前だった時代は、急速に過去のものとなりつつあります。

私たちが生きてきた高度経済成長期やバブル期は、「飲みニケーション」が当たり前で、「付き合いが大事」、「我慢は美徳」といった空気が私たちの思考を縛り付けている側面があったように思います。

一方、今の若い世代、特にZ世代は、アルコールに対して私たちとは全く異なる価値観を持っています。

彼らが体現する「ソバーキュリアス(Sober Curious)」というライフスタイルが、今、注目を集めています。

これは、飲める人が「あえて飲まない」という選択をすることで、心身の健康や生産性の向上、精神的な充足感を追求する生き方です。

Z世代は、デジタルネイティブとして、アルコールの健康への悪影響に関する情報を容易に入手し、それを知識として持っています。

彼らは、「とりあえず飲む」のではなく、情報に基づいてリスクとベネフィットを判断する合理性を備えています。

また、身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスも重視する傾向があり、「シラフでいること」が心の安定やクリアな思考、質の高い睡眠に繋がることを理解しています。

さらに、彼らは「みんなが飲んでいるから自分も」といった同調圧力に屈するのではなく、「自分軸」を大切にします。

飲酒や二日酔いで時間を浪費することを嫌い、限られた時間を自己投資や趣味、大切な人との交流に使いたいと考えているのです。

こうしたZ世代の姿は、単に「最近の若者は…」と片付けるのではなく、私たち中年世代にとって「学ぶべきヒント」に満ちているように思えます。

変化する「職場の人間関係」の価値

私たちが社会に出た頃は、終身雇用制度が広く機能しており、会社は生活の基盤であり、職場の人間関係は非常に重要視されていました。

しかし、バブル崩壊以降、この前提は大きく揺らいでいます。

終身雇用が崩壊した今、職場の人間関係に過度に依存することは、かえって自身のキャリアの可能性を狭めることになりかねません。

特定の人間関係に縛られることなく、自身のスキルや市場価値を高めることに注力する方が、結果的に自身の「安泰」につながります。

気が進まない職場の飲み会への参加は、明確な「時間の無駄」であり、精神的な負担を伴います。

無理に人間関係に労力を費やすよりも、仕事に集中し、自身のパフォーマンスを最大限に発揮することにエネルギーを注ぐ方が賢明です。

また、職場の飲み会はアルコール依存やそれに伴う健康リスクを増大させる可能性も認識すべきです。

アルコールは多岐にわたる健康リスクを引き起こし、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。

職場の人間関係を良くするためという名目で、自身の身体と精神に深いダメージを与えるのは本末転倒と言わざるを得ません。

職場の人間関係は、もはや絶対的なものではありません。

私たちは、自身の幸福とキャリアを主体的にデザインするために、「職場の人間関係は重要ではない」という認識を大胆に受け入れ、自分自身の時間とエネルギーを真に価値あるものに投資していくべきなのです。

「~べき」という鎖を断ち切り、人生の主導権を取り戻す

私たち中年世代が変化に対して抵抗を感じやすいのは、昭和から刷り込まれた「~べき」という思考の鎖が深く根付いているからです。

付き合いは良くす「べき」

誘われた飲み会は断るべきではない。

場の空気は読む「べき」

みんなが飲んでいるのに自分だけ飲まないのは避けるべきだ。

上司・先輩は立てる「べき」

勧められたお酒は飲むべきだ。

仕事のためなら我慢す「べき」

健康を多少害してでも、仕事上の付き合いに耐えるべきだ。

弱音は吐く「べき」ではない

辛くてもお酒などで紛らわせて乗り切るべきだ。

これらの「~べき」という考え方が積み重なることで、私たちは自分の本当の気持ちや欲求を押し殺し、社会的な期待や役割に合わせて行動することを優先してしまいます。

その結果、「飲まない」という選択が、単なるライフスタイルの選択ではなく、「付き合いが悪い」といったネガティブな評価に繋がるのではないかという恐れを生み出すのです。

この「重たさ」の根源を理解し、その鎖を断ち切るための鍵こそ、前作から一貫して訴えてきた「マインドセット革命」です。

人生の後半戦をより自分らしく、豊かに生きるための、根本的なOSのアップデートなのです。

禁酒を叶える仏教的アプローチ

「~べき」という思考の根源をさらに深く掘り下げていくと、仏教の重要な概念である「執着」に行き着きます。

仏教では、私たちの苦しみの多くは、何かに執着することから生じると説かれています。

承認欲求への執着

「付き合いが良い」と周囲から認められたい、嫌われたくないという思い。

現状維持への執着

変化を嫌い、慣れ親しんだ状態や人間関係を維持しようとする思い。

役割への執着

「仕事人間としてこうあるべき」という、自分が演じている役割への思い。

快楽への執着

お酒を飲むことで得られる一時的な解放感や高揚感、現実逃避といった快楽への思い。

このように、「~すべき」という思考は、私たちが様々な対象に抱く執着が形を変えて表れたものです。

この執着を手放すための実践として、本書では以下の仏教的なアプローチを提案しています。

マインドフルネス瞑想

今この瞬間に意識を集中させ、自分の感情や思考を評価せずにただ観察することで、衝動に自動的に反応するのではなく、意識的に対応する力を養います。

慈悲の瞑想

自分自身と他者への優しさと思いやりを育むことで、自己批判を手放し、他者の評価に過度に囚われる心を手放します。

感謝の実践

今すでに与えられている豊かさに意識を向けることで、不足感や欠乏感からくる執着を和らげます。

無常の理解と受容

すべては常に変化し続けるという真理を受け入れることで、変化を恐れず、柔軟な心を育みます。

これらの実践は、禁酒という目標を達成するだけでなく、精神的な自由、自己決定能力の向上、身体的健康、そして時間とエネルギーという、人生において最も貴重な資産を取り戻し、真の豊かさを手に入れるための「最強の自己投資」なのです。

禁酒がもたらす「3つの力」を使いこなし、自己実現を加速

マインドセット革命によって古いOSを脱ぎ捨て、新しい思考を手に入れた私たちは、禁酒によって得られた貴重なリソース、すなわち「時間」「集中力」「創造性」という3つの力を最大限に活用し、「自己実現」へと突き進むことができます。

1. 「時間」という名の最強通貨、その真の価値を引き出す

「時間は有限」であることを真に自覚した私たちは、禁酒によって生まれた「質の高い時間」を、目的意識を持ってデザインすることができます。

未来への投資時間

新しいスキルの学習や副業の準備など、将来の目標達成に繋がる活動に時間を割り当てる。

情熱を注ぐ時間

時間を忘れて没頭できる趣味や創作活動に意識的に時間を確保し、心の充足感を満たす。

関係性を育む時間

家族や本当に大切な人々と、シラフだからこそできる深い対話や共感的な関わりを持つ。

心身を整える時間

質の高い睡眠や健康維持のための運動など、自分自身をメンテナンスするための時間を設ける。

2. 「集中力」という名のエンジンをフル稼働

禁酒によって脳機能が正常化し、私たちは本来持っていたはずの「集中力」を取り戻すことができます。

この集中力を最大限に引き出すためには、集中できる環境を作り、マルチタスクを避け、シングルタスクに徹すること、そしてポモドーロ・テクニックなどを活用して意識的に集中と休息のリズムを作ることが有効です。

3. 「創造性」という名の翼で、新たな地平へ

「べき論」から解放された私たちは、他人の目を過度に気にすることなく、より自由に、大胆に発想することができるようになります。

禁酒によって得られたクリアな思考と研ぎ澄まされた感性は、仕事や日常生活における問題解決、新しいアイデアの創出、そして人生の再設計といった「創造性」を最大限に発揮するための翼となります。

人生は、何歳からでも、いつでも再設計できるのです。

中年期は、これまでの経験と、禁酒・マインドセット革命によって得た新たな力を融合させ、人生で最も豊かで実りある時期を創造するための、絶好のスタートラインなのです。

禁酒は「進化し続ける自己投資」

禁酒のメリットは、時間が経つにつれて積み重なり、深化していきます。

揺るぎない健康という資産

長年の禁酒は、がんや生活習慣病のリスクを着実に低減させ、加齢による心身の衰えを緩やかにします。

複利で増える経済的・時間的資産

節約されたお金は投資や自己投資に回すことで複利的に増え、キャリアアップや副業が軌道に乗れば収入も増加します。

信頼という名の人間関係資産

アルコールが介在しない、より本質的で安定した信頼関係が築かれます。

精神的な成熟という資産

自己理解が深まり、感情のコントロール能力が高まり、逆境に対するレジリエンス(回復力)が養われます。

これらの資産は、お金のように目に見えるものばかりではありません。

しかし、これらが組み合わさることで、人生の幸福度、満足度、そして自由度は、飲んでいた頃とは比較にならないレベルへと向上していくのです。

長期的な禁酒生活を維持するためには、定期的なメンテナンス、すなわち「守り」と「攻め」の戦略を継続することが不可欠です。

守りのメンテナンス

「もう何年も飲んでいないから大丈夫」という油断をせず、「自分は飲まない選択をしている」という意識を持ち続けること。

また、人生の転機に備え、アルコール以外の健全なストレス対処法を複数持つこと。

攻めのメンテナンス

常に新しいことに挑戦し、学び続け、自己成長を実感すること。

そして、「飲まない自分」というアイデンティティを確立し、その素晴らしさを積極的にアピールし続けること。

禁酒は、一度完了したら終わる投資ではなく、私たちの人生と共に成長し、変化し、その価値を進化させ続ける、まさに「生きた自己投資」なのです。

さいごに

『続・禁酒は最強の自己投資』は、単にアルコールという「薬物」から自由になるだけではありません。

それは、過去の常識や社会的な期待という「呪縛」から自由になり、自分自身の価値観に基づいて人生を主体的に再設計していく、極めて創造的な行為なのです。

Z世代が「飲み会参加で残業代でますか?」と問いかける姿勢は、単なる金銭的な要求ではなく、彼らが自身の時間と価値を尊重し、それを明確に主張する「自分軸」の表れです。

彼らがアルコールに依存しない生き方を軽やかに実践しているように、私たちもまた、彼らの合理性と自分軸を学ぶことで、より健康的で、より生産的で、そして何よりも自分らしく充実した人生を歩むことができるはずです。

体力に頼らない活動であれば、中年や高齢者の方が有利なこともあります。

古代ローマの哲学者「キケロ」が提唱するように、仕事で重要なのは肉体的な力ではなく、思慮・貫禄・見識であり、これらは老年期にむしろ増大するからです。

変化を起こすのに遅すぎるということは決してありません。

本書の結論はシンプルです。

「あなたの人生の脚本家は、あなた自身だ。古い脚本は、今すぐ書き換えよう!」

あなたが本当に望むストーリーを、あなた自身の言葉で、これから描いていけば良いのです。

そのために必要なエネルギーと時間は、禁酒がもたらしてくれます。

どうか、自分自身の可能性を信じてください。

変化を恐れず、一歩を踏み出す勇気を持ってください。

その先には、あなたが脚本を書き、主演を務める、想像以上に自由で、豊かで、あなたらしい輝きに満ちた、素晴らしい人生の第二幕が待っているはずです。

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